明顕山 祐天寺

千日(せんじつ)の稽古をもって 鍛(たん)となし、 万(まん)日(じつ)の稽古をもって 錬(れん)となす」

 

さて、今月の掲示伝道は歴史的に有名な宮本武蔵の名言でございます。江戸時代初期の剣術家で佐々木小次郎との巌流島の決闘は現代まで語り継がれています。

この意味は、「千日継続してやり続けることで物事は役に立つようになる。万日継続しなければより良いものに昇華させることはできない。」という意味です。継続することの大切さ、努力を続けることの大切さが伝わってくる名言です。1年が365日ですから千日は約3年、万日は約30年になります。皆様は何か30年間続けてきたことはありますでしょうか?私は今年で24歳なので、宮本武蔵のいうところの「鍛錬」にはまだまだ程遠いなと感じております。ちなみに、浄土宗をお開きになった法然上人は比叡山にて約30年間ご修行してお念仏の教えを見つけ開宗に至りました。30年間という時間がどれだけ長い時間なのかよくわかりますね。

 

そして、浄土宗で一番大切にしているお念仏の教えも継続して行うことが大切なのです。法然上人の御法語の中に『一紙小消息』というものがあります。その中の一節にこのようなものあります。「行は一念十念なおむなしからずと信じて、無間に修すべし、一念なお生る況や多念をや。」つまり、「念仏については、一遍や十遍の念仏でも必ず実を結ぶと信じながら、絶え間なく称えなさい。一度の念仏でさえ往生します。まして多く念仏する者は言うまでもありません」という意味です。つまり、一度の念仏で往生するとわかっていても、継続して称えていきましょうということです。お念仏は自身の極楽往生の為に称えているわけですから、ここでいう継続とはお念仏の教えに出会ってから極楽浄土へ往生するまでということになります。

 

何事も続けることは大変なことです。しかし、お念仏の教えはいつでも、とこでも、だれでもできる易しい修行です。お称えすることを続けていくことで自然と手を合わせてお念仏をお称えすることができるのではないでしょうか。どうぞこれからもお念仏をお称えする生活を続けて参りましょう。

合掌

祐天寺法務部 井村 真大

 

TOP