明顕山 祐天寺


公開日:2026年6月5日  

『まいた種は必ず芽生える 早いか遅いか あなた次第』 法務部 玉置大祐

皆さまの中には「こんなに頑張っているのになかなか成果が出ない」「才能がないのかな」と不安に思われた経験はございませんでしょうか。
仏教を開かれたお釈迦様は「まいた種は遅い早いの違いはあれど必ず花はひらく」と仰っております。花の種をまいただけで手入れをしなかったり、間違った手入れをしていたらなかなか芽を出してくれません。種に合った土づくりをしたり、水を与える努力を怠らず地道な努力をすることが大切であるのです。お釈迦様が説かれた悟りを目指して行う「八(はっ)正道(しょうどう)」という8つの修行のひとつに「正(しょう)精進(しょうじん)」というものがあります。精進とは精一杯努力することでございますが間違った努力では「正精進」とは言えません。例えば健康になる為にダイエットをしようとしてなるべく食事をとらない努力をした結果、栄養失調になってしまったり、泥棒の腕を磨くために努力したりすることは正しい努力ではありません。正しい方向に向かっての努力をすることが大切であり、この努力の大切さを弟子に示したお釈迦様のお話があります。
お釈迦さまの弟子にシュリハンドクというお弟子様がいました。ハンドクは生まれつき智慧が足りず、自分の名前さえ忘れてしまうほどでした。ある時落ち込んでるハンドクの姿を見つけ「どうした。具合が悪いのか?」と聞くと「いえ、どこも悪いところはないのですが、どうして自分はこんなに愚かなんだろう、みんなの足を引っ張ってばかりで情けなくて」と泣き出しました。すると、お釈迦さまは「悲しむ必要はない。お前は、自分の愚かさを知っている。世の中には本当は愚かなのに、自分は賢いと思っている愚か者が多い。愚かさを知ることは最も悟りに近いのだよ」と優しく慰められました。そして、1本の箒(ほうき)を授けて「ちりを払わん、あかを除かん」と言いながら毎日掃除をすることを勧められました。ハンドクはお釈迦さまに言われた通り掃除を試みますが「ちりを払わん、あかを除かん」の言葉をなかなか覚えることが出来ません。言葉が詰まる度にお釈迦さまが教え、忘れたら再び教えるを繰り返した結果ようやく1人で言えるようになります。ハンドクが毎日掃除を続けて20年が経ちました。ハンドクがお釈迦さまに「どうでしょうかキレイになりましたか?」と尋ねるとお釈迦さまは「ダメだ」と答えます。いくら隅から隅まで掃除をしてもダメだと言われます。そこに子供たちがやってきてハンドクがせっかく掃除をしたところを汚してしまいます。「こら!どうして汚すんだ!」と怒鳴って箒を振り上げた瞬間にハンドクは本当に汚れている所に気が付きました。いくら掃除をしてもすぐに汚れてしまう、それは人の心も同じなのだと気が付いたハンドクは阿羅漢果という高い悟りをひらいたと言われています。
現在何かに挑戦しておりなかなか結果が出なくても焦らなくて良いのです。まいた種がすぐに芽生えることもあれば、数年かかることもあります。目先の結果にとらわれずに地道に精進いたしましょう。                                   合掌

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