明顕山 祐天寺


公開日:2024年10月4日  

「大切な人とまた会える」

先日、詠唱の講座を受講するため、大本山百万遍知恩寺へ行ってまいりました。浄土宗での詠唱とは、法然上人やお念仏の教えを説かれた高僧のお歌を仏教的な音階旋律を用いてお唱えすることです。今回の講座では『蓮(はちす)のうてなの御詠歌(ごえいか)』という御詠歌について学びましたので、ご紹介させていただきます。

「先立たば 送るる人を待ちやせん 花のうてなの なかば残して」

この御詠歌は、「私が先にお浄土に生まれましたら、後からお浄土に来られるあなたのために、蓮(はちす)の台(うてな)を調えてお迎えいたします。」という意味です。私達は日頃、家族や友人など大切な方々との時間を過ごしております。しかし、この日々は永遠に続くわけではございません。出会いがあるからには、いつかお別れをするときがやってまいります。これは、どんなに悲しいことであっても人の世で生きている以上、逃れることができないことでございます。

しかし、お念仏のご縁で結ばれた私達の別れは、永遠の別れではございません。お念仏をお称えすれば、同じ極楽浄土へ往生させていただくことができるのです。

なぜなら、浄土宗の御本尊であられる阿弥陀様という仏様が、お念仏をお称えすればこの世で命の勤めを終えた後、必ず極楽浄土へ救い摂るとお約束してくださったからです。お念仏とは、阿弥陀様に対して、往生浄土を願って、南無阿弥陀仏とお称えすることです。南無阿弥陀仏とは阿弥陀様、どうかお救いくださいという意味です。阿弥陀様は、私達のために、一切の苦しみのない清らかな仏様の国をお建てくださいました。その国が極楽浄土でございます。私達はそこへ往生させていただくためにお念仏をお称えするのです。

この世で悲しいお別れをしたとしても、お念仏をお称えすれば極楽浄土の蓮の葉の上で大切な方々と再会することができる。これは、本当にありがたいことであると同時に、心の支えとなる御教えでございます。

私は、この御詠歌を歌いながら、改めてお念仏のありがたさを感じさせていただきました。ご指導くださった先生は、この御詠歌を歌うときは、歌詞を味わいながら、そしてこの歌詞のありがたさを感じながら歌うようにとご指導くださいました。

これからも、この御詠歌を通じてお念仏の尊さを多くの方々にお伝えできるよう精進して参ります。

合掌

法務部 井村真大


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