『自分の弱さと向き合い、それを大事になさい』
日本を代表するコメディアンであり、ザ・ドリフターズのリーダー、いかりや長介さんが生前に残されたあるインタビューでこのようにお話ししておりました。
『強くなることはないです。弱い自分に苦しむことが大事なことなんです。
人間は元々弱い生き物なんです。
それなのに、心の苦しみから逃れようと強くなろうとする。
強くなるということは鈍くなるということなんです。
痛みに鈍感になるということなんです。
自分の痛みに鈍感になると、人の痛みにも鈍感になる。
自分が強いと錯覚した人間は他人を攻撃する。
痛みに鈍感になると優しさを失う。
いいんです。弱いまんまで。
自分の弱さと向き合い、それを大事になさい。
人間は弱いままでいいんですよ、いつまでも。』
誰しもが、悩みや不安を抱えながら今を生きております。
人間関係の悩み、仕事の悩み、家族の悩み、病気の悩み、この命の行く末の不安、あげたらキリがない程に様々な思いともに生きるのが私達です。
勝ち負けに重きを置く傾向のある世の中ではありますが、本当は誰もが弱く至らない人間なのです。
仏様から見れば、私たちの物差しで見た勝ち負けなどドングリの背比べ。
誰もが完璧にはなれないし、強くはなれない。
誰もが悩み苦しんでいる、だからこそ仏さまは私達を分け隔てなく救ってあげたいと手を差し伸べてくださっているのです。
仏様のその優しいお心を慈悲(じひ)と申します。
どんなに不格好な姿を見せても、どんなに恥ずかしい姿を見せても、必ず『そのままでいいんだよ』と寄り添って下さるのが仏様です。
別のなにかになろうとしなくてもいい、弱いままのあなたでいいんです。
ありのままを受け入れてくれる、そしてよりよく生きてゆく道を教えて下さる。
それは私達にとって何よりも心強く、有難いことではないでしょうか。
共々に、この時を大切に、仏さまと共に生きて参りましょう。
合掌
法務部 廣瀨晴彦