明顕山 祐天寺

公開日:2023年11月4日  

「あみた仏に そむる心の いろにいては あきのこすえの たくひならまし」

暑かった夏も終わり、昼は暖かく、夜は肌寒い秋らしい気候になってきました。

今回ご紹介させていただきますのは、浄土宗を開かれた法然上人がお詠みになった秋の御詠歌です。訳しますと、「阿弥陀仏に染まっていく心が、色に現れるというようなことがあるなら、まるで秋の紅葉で木々の梢(こずえ)が紅く染まっていくようなものだろう。」と秋の紅葉の変化を、阿弥陀仏を信じる心が念仏によって染まっていくようだと詠まれた和歌です。

仏教には「信心」という言葉があります。信心とは、仏様の御教えを一切疑わず清らかな心で信じる心のことを言います。ひとえに信じるといっても我々には、目に見えないものを信じるというのは難しいかもしれません。しかし、継続は力なりということわざにあるように、毎日の念仏の積み重ねが、阿弥陀様を信じるための心が備わっていくと法然上人はお伝えくださっています。

私自身もお坊さんになった当初は、阿弥陀様や念仏の御教えについては半信半疑でした。しかしお坊さんとして、毎日のお念仏を続けているうちに、「仏様はいるのだろうか」から「いるのだ」と思えるようになってきました。科学が発展した現代、目に見えないからこそ大切なこともたくさんあります。

日々なにかと忙しい現代ですが、緑から赤、橙と変わる紅葉の移り変わりを眺めながら共々にお念仏の秋にしてみてはいかがでしょうか。

合掌

法務部 吉澤 遵和


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