明顕山 祐天寺

公開日:2023年9月3日  
「自分を苦しめず、他人を傷つけることもない、そんな言葉だけを語りなさい。」
                                   スッタニパータ
家族との会話、友達との会話、恋人との会話、同僚との会話、先輩との会話、後輩との会話、地域の人との会話。私たちは生きている中で様々な人と出会い、言葉を交わして生活しています。みなさんも会話や言葉の一つで楽しくなったり、嬉しくなったりしたことがあるのではないでしょうか。
私も人から「ありがとう」と言ってもらえるとすごくうれしくなります。自分のことではなくても、家族のこと、自分が大切にしている人のことを褒められたりするととても嬉しくなります。その反面、言葉一つにとても悲しくなった経験もあります。子どものころには「嫌い」「うざい」「きもい」というような言葉を言ったことも言われたこともあります。こういった言葉は言っても言われてもどちらにせよとても嫌な気持ちになります。言ったほうも言われたほうも嫌な気持ちにならないそんな「正しい言葉」を使えば、昔の私や、私が嫌な思いをさせてしまった人のように傷つくことはありません。
 私自身、常に「正しい言葉」を使いたいと思っていますが、家に帰ったり、近しい友達と会って話したりするときはものすごく気が抜けてしまいます。ちゃんと話を聞いていなかったのに「へー」なんて返してしまったこともあります。私だったら話をした相手にこんな返事をされたらすごく嫌な気持ちになると思います。こういうときは「ごめんね、今ぼーっとしちゃって聞いてなかったから、もう一度言ってくれる?」と申し訳ないという気持ちを込めて聞けば、相手も「しょうがないな、もう一回言うから聞いててね?」となるかもしれません。私の返事の仕方では十中八九喧嘩になります。そして、恥ずかしながら私も喧嘩になるとヒートアップして、わざと相手が嫌な気分になる言葉を選んで言ってしまうこともあるので、お互いに嫌な思いで終わってしまいます。
 皆さんはどうでしょうか。日々の会話やちょっとしたメールのやり取りで「正しい言葉」を使っていますか?
 仏教の開祖であるお釈迦様は「自分を苦しめず、他人を傷つけることもない、そんな言葉だけを語りなさい。」とくり返し説いています。言葉は暴力以上に人を傷つけてしまうことがあり、噓や汚い言葉は、それを話す自分の心も汚してしまいます。
 私も日々自分が発した言葉を振り返ってみると「あれはよくなかったな」と思うことがたくさんあります。今のところは今まで言葉の蓄積で、まだまだ私の心は汚れているかと思いますが、人を傷つけないような優しい言葉、「正しい言葉」を使うことを心がけて、言葉遣いも自分の心もきれいにすることを目指しています。
 皆様もぜひこのお釈迦様の言葉を心にとどめていただいて、自分の環境も周りの人の環境も穏やかになるような言葉遣いで日々過ごしてみてはいかがでしょうか。
合掌

«    »
TOP