明顕山 祐天寺

公開日:2023年8月2日  

「人類にとって最高の宝は平和です」 中沢啓治「はだしのゲン」作者

 

夏は1年の中でも、特に平和を意識する季節です。

小学生の頃に漫画「はだしのゲン」を読み、原爆や戦争の恐ろしさを学びました。これは作者である中沢啓治さんが、ある著書の中で述べられていた言葉です。

 

私は高校の修学旅行で沖縄へ行きました。その頃の私は、日本では広島と長崎でのみ戦争をしていたと思っており、沖縄で壮絶な日々が繰り返されていたことに衝撃を受け、恥ずかしい思いをしたことを覚えています。その後、広島、長崎、知覧に行く機会がありました。長崎の資料館では当時を知る方に案内をしていただき、詳しく説明を受けました。その中で最後に「戦争は怖い!恐ろしか!」と言われたことが、今でも忘れられません。

 

知覧の資料館では、私よりも歳が若い隊員が特攻隊として大勢亡くなっており、たくさんの顔写真が飾ってありました。その中でも、仲間同士の笑顔の写真、家族を思って書いた手紙の達筆な文字、遺品の数々を目の当たりにすると、本当に胸が苦しく、痛くなりました。

 

亡くなった祖父は、学生の頃は横須賀の海軍工廠で兵器の部品を作っていたそうです。お寺の鐘や仏具も武器を作るために供出し、当時の住職や檀家さんが鐘とのお別れ会をした写真が残っていました。そして「もうあんな時代は嫌だな」と言っていました。

 

中沢啓治さんは、戦争について「忘れることが必要なこともあるが、絶対にこれだけは忘却しちゃいけない。形骸化させてはいけない、子々孫々に教えていかなくてはならない」と述べています。

 

先日、7歳の長男が「日本はむかし戦争をしていたの?」と聞いてきました。学童で平和について学ぶ機会があったそうです。戦後78年が経ち、当時を知る人はどんどん少なくなっていくでしょう。現在は、国民の8割が戦後生まれになるそうですが、今が戦争を体験した人の生の声を聞ける最後の機会であり、正しく次の世代へと伝えていかなくてはなりません。

 

聖徳太子は「和を以て貴しとなす」と定められました。私達は先人達の平和への思いを次の世代に伝える義務があります。1日も早く海外での争いも終わり、世界に平和が来ることを願うばかりです。

合掌

法務部 竹内正俊


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