『譲(ゆず)られて 心(こころ)から感謝(かんしゃ)できる 人になりたい』
祐天寺 日向哲空
私は自分のことを、とても「我(が)が強い人間だな」と思うことがある。
我が強いから、正しいと思うものがあれば、自分の意見を通そうと、誰かと衝突(しょうとつ)することも度々である。
たとえば、自動車を運転していて、お互いが我を通そうとして、事故が起きるようなものである。
たとえ、そのとき自分の意見を押し通すことが出来たとしても、それで気持ちがスッキリするわけではなく、実際のところは逆にイヤな気もちが残ることが多い。
皆が我が強ければ、私の身の回りは争いだらけになってしまうだろう。
しかし、そうならないのは、きっと誰かが自分の我を抑え、私に譲ってくれているから、、、
ある年配のご僧侶に教えていただいた事がある。
「意見が衝突したら、一人しか渡れない丸太を思い出すと良い。
左右から同時に渡れば二人とも動けなくなる。
どちらかが先に譲ってあげなければ渡れない。
他人に譲る気持ちを持ち、譲られた人は感謝して通ればいい。」
私の「我の強さ」は簡単に治るものではないかもしれない。
しかし、治した方が良いものだし、私にしか私の我を治すことのできる者はいないわけである。
「譲れるものは、気持ちよく譲る」
「譲ってもらえたら、ちゃんと感謝の心を持つ」
そんな当たり前のことのできる人間に私はなりたいと思う。 合掌