親が拝めば子も拝む
法務部 東谷健信
法然上人の御法語にこのようなお言葉がございます。
「わが身の人となりて 往生を願い念仏することは ひとえにわが父母の養いたてたればこそあれ」
「私達が、人間として生まれ大きく育てて頂き、極楽へ生まれたい(往生)と願いをおこし、お念仏申す信仰の道に入れたのも、すべて両親のご恩です」と申されています。
こうして今僧侶として日々精進できているのも阿弥陀様のお念仏のみ教えによってご縁をいただき、小さい時から師僧や老僧のお念仏をお唱えしている姿を常に見てきたからであると思います。それは皆様にも日々の生活の中で同様な経験があるかと思います。
例えば両親が挨拶をしていれば子も同じように挨拶をしますし、毎朝お仏壇の前で手を合わせていれば自然にその姿を受け継いで手を合わせると思います。
私の自坊のお檀家様にもこのような方がおられました。ある夏のお盆のお参りでご自宅にお伺いした際に幼稚園のお子様がお仏壇の前で木魚を叩いて南無南無と上手にお念仏をお唱えしていました。上手だねとお話しすると「じいじが毎日してるの」と言っていてまさに親や祖父母の姿を見て受け継いでいるんだなと感じました。
親が拝む姿を子が受け継ついで阿弥陀様を拝み、そして優しくまっすぐな素晴らしいお子様に育たれたのだと思います。
浄土宗で一番大切にされているお念仏は誰でもどこでもできるご修行でございます。沢山お念仏をお唱えして阿弥陀様やご先祖様とご縁を結ぶ大切なものなのです。
そしてお念仏をお唱えすることによって私たち自身も阿弥陀様の迷い苦しみのない世界、極楽浄土に往生することをお約束されるのです。お念仏をお唱えする心が形に現れまた形が心を養って下さいます。親の姿を見て子が育つように私たち自身も次の世代やお参りいただく方にしっかりとお念仏をお唱えする姿を受け継いでいけるよう日々精進していきたいと思います。
素晴らしいお念仏のご縁をいただいた私たちなのですから阿弥陀様のみ教えを一心に信じてまた心のよりどころにしていただき、「明るく・ただしく・仲良く」日々の生活を送っていただければと思います。
合掌