明顕山 祐天寺

公開日:2022年11月22日  

令和4年11月16日~30日 掲示伝道

 

「みんなちがって みんないい」  作者:金子 みすゞ

法務部 竹村 崇邦

秋も深まり、紅葉真っ盛りの季節となりました。境内の木々も秋の彩りに染まっています。その中でも本数が多いのが桜の木です。日本を代表する花として広く親しまれる桜ですが、意外にも秋に紅葉することをご存知ない方もいらっしゃるようです。

紅葉というと、イチョウは黄色、カエデは赤というように、木それぞれの持ち味ともいえる色彩があります。桜の紅葉の色合いは、例えるならば「夕方の茜空」。赤みまじりのオレンジ色から黄色まで、葉っぱ1枚1枚がそれぞれに違った色を持ち、それがまるで水彩絵の具のように混じり合い、夕焼けを思わせる独特な色彩になります。

 

「青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光」

これは『仏説阿弥陀経』の中に出てくるご文です。「青い蓮は青い光を放ち 黄色い蓮は黄色い光を放ち 赤い蓮は赤い光を放ち 白い蓮は白い光を放っている」と、阿弥陀さまの極楽浄土に咲く蓮の花のありさまが説かれています。

それぞれが、それぞれの色を持ち、それぞれの色で光り輝く。これは、私たち人間も同じであり、本来の姿、生きる喜びの姿であります。しかしながら、私たちは日頃、他人と比べながら生きています。他の人にはない優れたものを持つことが、光り輝いて生きることのできる方法だと考え、そして必死になって、他の人よりも優れたものを手に入れようとしています。しかし、私たちは、誰しもが、「できること」と「できないこと」を持っています。それが当たり前の姿。他の人との比較から解放し、自分自身の花を咲かせ、自分自身で輝くことは素晴らしいことです。他の花と何ら遜色のない自分自身の花です。

顔かたちや性格、才能が異なっていても、自分自身のありのままの姿を認め、そして相手を認め、お互いに助け合い、自分らしく光輝かせて生きていく。これが大切です。

 

阿弥陀さまは、お念仏をお称えした全ての者を、分け隔てなくお救いくださいます。自分は自分のままで、お念仏をお称えし、お互い思いやりの心持ちで日々を過ごしてまいりましょう。

合掌


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