「人のコースを進んでもいいことないよ」
ドラえもん
法務部 竹内正俊
ある時、のび太君はドラえもんに人の生活と交換できる秘密道具を出してもらいました。道具を貸した時に、ドラえもんが、のび太君に言ったセリフです。
実際に、しずかちゃんと交換してもピアノのお稽古があったり、ジャイアンと交換して野球のピッチャーになったりしますが、なかなか上手くいきませんでした。
のび太君は勉強もスポーツも苦手な男の子です。出木杉君のように頭がいい人や、スネ夫君のようにお金持ちの人をうらやましいと思うことがあるのかもしれません。
「白は白 黄は黄のままに 野の小菊 とりかえられぬ 尊さを咲く」
それぞれ、他にはない尊さを持っているのです。真っ赤に綺麗に咲いた花が自分の尊さに気付くことができれば幸せなのでしょう。しかし、あんがいこれが分からず、自分が持っている尊さに気付くことができずに、自分に無いものを求めて、そこに新しい苦しみが生まれ、悩みが生まれてくるのです。
私達が拠り所とする『阿弥陀経』というお経には、極楽浄土の池には綺麗な蓮の花が咲いており、「青い花は青い光を 黄色い花は黄色の光を 赤い花は赤い光を 白い花は白い光を放っている」と、説かれています。
当たり前ではないかと思うかもしれませんが、それぞれが輝く世界、ありのままを認めてくれるのが仏様の世界です。
ジャイアンのような力持ちになれなくても、出木杉君のようになれなくても、のび太君はそのままで、輝いているのです。「もともと特別なオンリーワン」の私達なのです。
人と比べず、それぞれ一人一人が輝いている、尊いのだということを教えてくれます。
合掌