明顕山 祐天寺

公開日:2022年1月18日  

「わたしがさびしいときに ほとけさまはさびしいの」

 

大正末期から昭和初期にかけて活躍した童謡詩人・金子みすゞの詩の一節です。

 

「さびしいとき」

わたしがさびしいときに よその人は知らないの

わたしがさびしいときに お友だちはわらうの

わたしがさびしいときに お母さんはやさしいの

わたしがさびしいときに ほとけさまはさびしいの

 

さびしい思いをしている相手に対して、「あなたに代わってあげたいけど代わることができません。だから、私はあなたの傍にいて一緒にさびしい思いを共有させて欲しい」

相手の立場に立ち、相手の心と自分の心を同じくしていくことを、仏教では「同事(どうじ)」と言い、相手の立場を思いやる心を大切にします。

 

新型コロナウィルスの感染が再び拡大しており、なかなか終息しません。その影響により、日々のお仕事や生活に苦労をしている方々がたくさんおられます。

 

「自分自身のことで精一杯で、他の人のことまで思いやる余裕なんてない」

そう思うのは当然のことかもしれません。しかし、こんな時こそ、身近にいる人が抱えている辛さを思いやってはいかがでしょうか。相手の痛みや苦しみを感じられれば、おのずと相手に対する思いやりや労(ねぎら)い、慰(なぐさ)めの言葉が出てくるものです。「お辛いですね」と、相手の苦しみを、自分もいま感じていることを表現する、それだけで、お互いの気持ちを思いやることができるものです。

 

おだやかな生活に落ち着くのは、いつになるでしょうか。しかし「明けない夜はない」と言われるように、必ず苦しみには終わりがあります。この苦しみを乗り越えた先には、皆でよろこび笑うことができる日が必ずくることを信じ、今日この一日を大切に、仏さまと一緒に生きてゆきましょう。

 

合掌

 

過去の掲示伝道


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