明顕山 祐天寺

令和4年6月16日~6月30日

 

【 「いただきます」 「ごちそうさま」 】

 

法務部 吉澤 遵和

 

皆さまは、食事の時に「いただきます」「ごちそうさま」を言っていますでしょうか。子どもの頃は当たり前のように言っていた言葉も、大人になるに言わなくなる方もいるのではないのでしょうか。

 

「いただきます」と「ごちそうさま」の語源を調べてみると、「いただきます」とは神様にお供えしたものを食べるとき、位の高い方から物を受取るときに、頭の上にかかげて「いただく」ことから、変化して「いただきます」となったようです。

 

「ごちそうさま」は、漢字で表した時「御馳走様」と書きますが、昔は今のように保存できるものがなかったため、食材を揃えるのは大変でした。「馳走」は走りまわるという意味で、食事を出してもてなすために奔走する様子を表しているため「御馳走様」というようになったと言われています。

 

お坊さんが食事をとる際にお称えする文があります。そこには下記のような意味があります。

一つには、この膳になるまでにいかに多くの労力と手間がかかっているかという人々の辛苦を思い、またこの食物がどこからどのようにしてもたらされたかという施主の恩を思う。

二つには、果たして自分にその食事を受けるだけの徳が具わっているかどうかを考えてみる。

三つには、美味云々という気持ちが出たならば、それは三毒煩悩より生じた心であるから、くれぐれも食事の味に執着しないようにする。

四つには、食事は身を養い、命を保つための良薬としていただくものであり、飢渇を癒すためのものであると心得る。

五つには、ただひたすらに仏道を成就するための食事であって、世間の名誉栄達などにまったく関係がないと観念する。

 

もちろん仏道修行をするお坊さんの為の文ではありますが、だれにとっても大事なことはでないでしょうか。

作って頂いた人への感謝、いのちを頂くことへの感謝、古来より私たち日本人が大切にしてきている大切な気持ちでございます。

 

食べるという字は「人」が「良く」なると書きます。頂いた命で、自分がより良く生かさせて頂いていることに感謝をして、「いただきます」「ごちそうさま」を忘れずに言いたいものです。

 

合掌

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