明顕山 祐天寺

『一日を 一生として 暮らしなば その日その日は 貴(とうと)かりける』

法務部 廣瀨晴彦

「お坊さんでも悩みとかあるんですか?」
「もちろんです!悩みだらけですよ。」
先日、境内でお会いした方とお話をしていた時の会話です。

私達は人として生まれたからには、誰しもが悩み迷いと共に生きていかなくてはなりません。
そして、この苦しみ迷いを生み出す全ての心を無くすことが出来ない、そんな至らない存在がこの私たちです。
考えてみますと、生活を送る中で決して楽しいことばかりではないと思います。むしろ悩んだり、迷ったりすることの方が多いのではないでしょうか。
仕事が上手くいかない、人間関係が上手くいかない、お金が足りない、身体が言うことを聞かない、あげたらキリがないほどに大小様々な悩みと共に暮らしている私達ではないでしょうか。

お釈迦様はこの世は無常であるとお教え下さいました。この世のありとあらゆるものは常に移り変わっていくものであると。私たちが感じる苦しみや悩みも無常であり、嬉しいこと楽しいこともまた無常です。幸せなことも長続きしませんが、苦しみ悩みも長続きしません。
そして私たちの命もまた無常のものであり、明日この命があることを誰も保証してくれません。
今この時に、嬉しいことは素直に喜び、辛いことも必ず移り変わっていくものだと心に置くこと、これは生活を送る中でとても大切なことだと思います。

十人十色の人間が共に生活を送っております。この先も一切の悩みが無くなることは難しいでしょう。しかし仏様の教えをとおして、悩み苦しみと少しでも上手に付き合っていく方法はあるのだと感じております。

阿弥陀様という仏様は、悩み迷いと共に生きる私たちだからこそ救って下さる仏様です。
南無阿弥陀仏とお念仏をお称えした者を、一人も漏らすことなく極楽浄土の清らかな世界にお迎えくださいます。
どんな時でも私達を見守って下さっております。

今日という日は、今日しかありません。それぞれが今日という一生を送る中で、この言葉をふと思い出していただき、大切な時間をお過ごしいただければ幸いです。

合掌
法務部 廣瀨晴彦

 

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