明顕山 祐天寺

「怨憎会苦」

 

                               法務部 井村 真大

 

今回の掲示伝道は私たちが生活する中で逃れることのできない8つの苦しみ、「四苦八苦」の中の一つとされている「怨憎会苦」についてお話ししたいと思います。「怨憎会苦」というのは自分に酷いことをしたり、嫌だなと思っている人とも会わなければいけないという苦しみのことを言います。皆様も今までにあの人に会うのは嫌だなと思ったことがあるのではないでしょうか?

 

私が高校生の時とても怖い先生がいました。先生はいつも厳しく、授業を受ける態度や生活態度がしっかりしていないと大きな声で注意されました。それ以外にも、宿題を忘れるとげんこつをされたり、謂れのないことを言われたりしたので、私はその先生に会うのが毎日憂鬱でした。学校は毎日あるので、学校へ行けば当然その先生はいますし、先生の授業がなくても、先生と会わない日があってもこの気持ちが無くなるわけではありませんでした。なぜなら、ふとした時に先生のことを思い出して、先生に対する会いたくないという気持ちが常にあったからです。先生に対する気持ちは「怨み」や「憎しみ」に近い感情でした。

 

私たちは生活の中で多くの人と関わらなければなりません。十人十色という言葉があるように、私たちは一人一人みんな違う性格や価値観を持っています。そんな社会で過ごしていれば、「怨み」や「憎しみ」の感情を抱いてしまう人と会うことは嫌でも避けられないことです。

 

私はこの「怨憎会苦」のような辛い苦しみを乗り越えることができるのが「お念仏」の力だと思います。私たちは普段苦しみから逃れたいと現実から目を逸らしてしまいますが、思い通りにはなりません。しかし、お念仏をお称えする生活を送ったのであれば、この世での勤めを終えたときに極楽浄土へ往生させていただけるのです。この極楽浄土は「怨憎会苦」をはじめとする様々な苦しみが一切無い世界です。

 

現実は苦しいことが多くありますが、どうかお念仏を心の支えにして、日々強く生きて参りましょう。

 

合掌

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