明顕山 祐天寺

霊(たま)まつり和讃

「無常の風に誘われて 花の浄土に旅立ちし 親兄弟や愛し子を

里に迎えて想い出の 涙あらたに回向する 今宵(こよい)うら盆霊(たま)まつり」

 

これはお盆について歌ったお歌であり、霊まつりとはお盆の精霊会の俗称で正式には盂蘭盆会(うらぼんえ)といいます。これはインドの農耕社会における先祖崇拝の思想が仏教に受け継がれ、中国を経て日本と伝来され、現在の一般の民間信仰として広まりました。これはお釈迦様の十大弟子であった目連尊者が餓鬼道に墜ちた母親を救うために、僧侶にさまざまな飲食をお供えし供養したという話が起源となっています。

 

現在では地域によって多少異なりますが7月、あるいは8月の中旬頃に迎え火を焚いてご先祖様を迎え、送り火でお送りする行事となりました。そして、そこから僧侶による棚経参り、精霊(灯籠)流し、盆踊りなど催しが派生されました。今年は延期となりましたが、当山でも毎年7月16日から3日間盆踊りを開催し、多くの方々とご供養させていただいております。

 

私も毎年8月のお盆の時期には帰省して、お寺にお参りに来られた方とお話しをします。中には普段なかなか集まれない親族がお盆ということで帰省し、一緒にお参りに来られる方もいます。そして亡くなられた方の思い出話をして懐かしみ、それをお子さんやお孫さんに伝える様子、そしてそれを見てくれているであろうご先祖様を思うと、改めてお盆っていいなという気持ちになります。

私には昨年3回忌を迎えた祖父がいます。普段の帰省でも祖父のお参りは欠かしませんが、やはりお盆の帰省の時は祖父に対する思いが大きくなります。この時期はいつも極楽浄土から私を見守ってくれている祖父が、今は近くにいるんだなと強く感じることができ、より祖父との思い出が鮮明に思い出され「ありがとう」という気持ちになります。

 

今年は例年通りのお盆をお迎えすることは難しいかもしれません。ですが帰省して親族一同でご先祖様を迎えることはできなくても、心の中ではご先祖様にいつも見守ってくれていることへの感謝の気持ちを持って、日々の生活をお送りいただければと思います。

 

合掌

法務部 東谷 大信

TOP