明顕山 祐天寺

「もの言わぬ 親に会うなり 盆まいり」

 

 

もうすぐ東京ではお盆を迎えます。お盆にはご先祖様がキュウリの馬に乗り、早くこの世に帰ってきて私達と過ごし、お盆が終わるとナスの牛に乗り、ゆっくりと仏様の国に戻っていくと言われています。

 

先日、テレビである地域では、キュウリやナスの代わりに、おもちゃを下げてご先祖様をお迎えすると紹介されていました。ハイカラな人はスポーツカー、免許を持っていなかった人はタクシー、飛行機に乗ったことがない人には飛行機の模型をぶら下げてお迎えするそうです。初めて知り、面白いなあと思うと同時に、ご先祖様を大切に思う気持ちが感じられました。

 

私は今年、親しい人との辛い別れがありました。時間が経った今でも、その人がいないことが信じられなく寂しい気持ちがあります。人との別れは辛く悲しいものですが、お盆にはこの世に帰ってきてくれるのだなあと思うと、嬉しく感じます。

 

極楽に往った方には、人間にはない優れたお力を皆が頂けるとお経に説かれています。例えば、私達のことをいつでも見られるお力、どれほど遠くの世界の音でも聞くことができるお力、私達の想いを知って下さるお力などです。

 

こちらからはそのお姿は見えませんが、先立った方はこのような尊いお力を頂き、私達のことをいつも見守ってくれているのだと思うと、本当にありがたく、嬉しく思います。

 

今年のお盆は、世界中が混乱しているこの状況を驚かれるかもしれません。1日も早く元の生活に戻れることを祈るばかりですが、せめてお盆の間は、ご先祖様との懐かしいひと時を大切に過ごしたいものです。

 

合掌

法務部 竹内正俊

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