『人間の「善」が、常に「悪」よりも先んじてほしいものです』
初めてこの言葉を読んだ時、ドキッとしました。「鉄腕アトム」、「火の鳥」などを描かれ、マンガの神様と呼ばれた手塚治虫さんの言葉です。
悪いことをせずに、善いことをする。そして自分の心を清らかにする。これが仏様の教えです。自らの心を振り返ってみるといかがでしょうか。
しかし、悪いことをしないように心がけていても、なかなか難しいものです。私達は誰もが煩悩という迷いの心、悪い心を持っており、自分でも気付かずに造ってしまう罪もあるのです。
最近気になっているのは、フードロスという問題です。世界では約8億人が飢えに苦しんでおり、5秒に1人、子供が餓死しているそうです。
一方、日本では年間約2800万トンの食品廃棄物等がでており、これは世界の7,000万人が1年間食べていける量だそうです。さらにその中で、まだ食べられるのに捨てられている食料が、なんと年間約650万トンもあるのです。とても想像がつきませんが、日本人1人あたり、毎日ご飯茶碗一杯分の食料を捨てている計算になるそうです。このことを飢えに苦しんでいる方達が見たらどう思うでしょうか。
他の生き物の命を頂いて、私達は生かされているのです。その尊い命を奪うのは一度だけです、二度奪ってはなりません。私も身に覚えはありますが、いけないことですね。知らず知らずのうちに罪を重ねてしまう、私達です。
私達は自分だけの価値判断だけではなく、自分以外のものさしをもつことが大切です。迷った時は、仏様ならどう思うか、どうすれば喜んで頂けるだろうかと、一度立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。
どうぞ仏様、ご先祖様に喜んでいただくような生き方をしていきましょう。
合掌
祐天寺法務部 竹内正俊