明顕山 祐天寺

「胸のうち 聞いてもらいに 墓参り」

東京のお盆は7月ですが、もうすぐ多くの地域では8月のお盆を迎えます。お盆休みには毎年、帰省ラッシュの渋滞や旅行の様子などがニュースに映りますが、ご先祖様のお墓参りをする方も多いことでしょう。

 

先日、3歳の長男を連れて、私のひいおじいさんのお墓参りに行きました。私が小学6年生の頃に亡くなったひいおじいさんですから、もちろん長男は会ったことも、話したこともありません。しかし会ったこともない、このおじいちゃんがいなければ、自分もここにいない、ご先祖様から受け継いだ命をしっかりと生きなくてはいけない、そんなことがいつか分かってくれたら嬉しいなと思います。

 

浄土宗の総本山は京都の東山にある知恩院です。私は知恩院に行くと、必ず法然上人の御廟というお墓にお参りします。御廟の前には、誰もが参拝できるお堂があり、木魚や自由に記入できるノートが置いてあります。法然上人のお墓を前にすると、誰もが救われるお念仏のみ教えを弘めて下さったご恩に感謝せずにはいられません。お参りした時にはしばしの間、木魚を打ちながらお念仏をお称えします。今、自分が悩んでいることや、迷っていることを法然上人ならどうお答え下さるだろうかと、胸の内を聞いてもらえるような気がするのです。

 

以前、テレビを見ていた時に墓マイラーという方の存在を知りました。歴史上の人物や、著名人のお墓をお参りする人達のようです。「お墓はそこに眠っている人が、この世に存在した証しであり、その人物が生きた時代を感じさせる心に響いた言葉や、エピソードを思い起こさせる存在です」と話しておりました。

 

このように私達がお墓参りをする時には、先立った人の懐かしい姿や声が思い出され、在りし日の思い出が色々と浮かんでくるのではないでしょうか。そして、大切な方への感謝の思いを新たにするのです。実際に、先立たれた方とこの目で会えるわけではありませんが、お墓は仏様の世界との窓口になるのではないでしょうか。

 

亡き方々は、いつも私達のことを見守って下さいます。慌ただしく過ぎる日々の中で、時間を作ってお参りに来てくれることを喜んで頂けるのではないでしょうか。どうぞこれからも、お墓参りの機会を大切にしていただければ、ありがたいと思います。

合掌

法務部 竹内正俊

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