明顕山 祐天寺

子育てを考える

 

「子育て四訓」

乳児はしっかり肌を離すな

幼児は肌を離せ手を離すな

少年は手を離せ目を離すな

青年は目を離せ心を離すな

 

この子育て四訓は山口県の教育者の方が示されたものであり、子育てに大切な保護者と子の距離感について実に的確に示されているものであると感じます。

 

以下は私の娘が通う目黒区立目黒中央中学校校長先生のお言葉であり、学校の教育方針である「自立と共生」について、たびたび生徒にお話し下さっているものです。

 

自立と共生(西田校長先生のお言葉)

自立とは、辞典によれば「他の助けなしに自分の力だけで物事をおこなうこと」とあるが本校が目標に掲げている自立はそれとは少し意味の違うものである。なぜなら、この私たちが生活する社会は、違う役割を持つ者同士がそれぞれその役割を果たすことで成り立っているからである。つまり、他の力に頼らずにただひとりで生きている人間はおらず、現実的には他に助けられ、他を助けながら生きているのが自分たちである。この様な社会の姿と自立との関係性を考えたとき、この言葉の持つ意味が「他の助けなしに自分一人の力で物事を行えるようになること」ではなく「他と助け合うことで、たとえひとりでは出来ないことであっても成し遂げる事が出来るようになる」という意味の言葉となっていくわけである。

また共生とは「ヒトを含む様々な生物が、互いに関係を持ちながら調和を保って共存する」という生物学的な意味合いをもって使われる場合が多い。しかし本校が目標に掲げる共生とは「私たちがただ同じ場所で共存していく」ということだけではなく、そこから更に一歩進み「私たちが同じ場所でより良く生活していく」という意識を日常的に持つことにある。そして、この共同生活の中でより良く生きていくために大切なことは、目の前の相手のことを否定するのではなく受け入れ、そして一緒に考えるということである。そのために必要なものは相手を尊重するという心でしょう。

 

 

人はこの世に命をいただいた後は、それぞれの環境で実に様々な影響を受けながら成長してゆくこととなります。そしていずれは保護者から離れ、自分自身が直接的または間接的に何かしらの形で社会と関わり合いながら生きていくこととなります。どの様に考えても人はひとりでは生きていくことができないのですから、他人との関わりは避けることのできないものですよね。

私も含め、ただいま子育て中の方々や、これから子育てをしていくことになる方々が「子育て四訓」にあるように、適切な距離感を保ちながらも常に子どものことを優しく見守ることができ、そして自己中心的な生き方ではなく「自立と共生」ということの大切さを、自らが実践しそして教えていくことができれば、それがすなわち子ども達のより良い未来へと繋がっていくものであると信じています。

 

ひとりの人間を育てていくということは、大変な責任をともなうものであり、それだけに迷いや不安、多くのご苦労もあるかと思いますが、共にがんばってまいりましょう。

 

 

祐天寺法務部

日向哲空

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