明顕山 祐天寺

「苦しみは喜びの深さを知るためにある」

 

厳しい寒さも過ぎ、当山でも春のお彼岸が始まりました。境内でお孫さんの手を引いてお墓参りに向かうお檀家さまの姿をみる度、気持ちが暖かくなっております。

 

さて今月の掲示伝道は「苦しみは喜びの深さを知るためにある」

これは私がインドのブッダガヤ、印度山日本寺に駐在している時に知り合ったチベット人から教えていただいた言葉です。

 

仏教をお開きになりましたお釈迦様はこの世は苦しみの世であると教えて下さいました。逃れられない苦しみ、生まれ、老い、病におかされ、死んでゆく。この他にも多くの欲望に日々悩み振り回されているが、その事にすら気づけない。そんな至らない人間が、この私達であります。

 

それでは私達には苦しみしかないのか。

阿弥陀様はこの世で苦しむ私達の為に、苦しみのない西方極楽浄土をご用意して下さいました。極楽浄土に向かわせていただく為には、ただ一つ、南無阿弥陀仏とお念仏をお称えすることが大切です。お念仏を心からお称えした全てのものを、阿弥陀様は平等に救って下さいます。極楽浄土に生まれさせていただいたら、阿弥陀様の様々なお力を頂き、同じ悩み苦しむ人を救う仏様になることが出来ます。

この喜びは人の世に生まれ、お念仏の御縁をいただいた私達だからこそ頂戴出来る喜びであります。

 

お彼岸は西方極楽浄土へ生まれさせていただく思いを新たにする大切な期間です。

苦しみの世の中で、極楽浄土へ生まれさせていただける喜びを頂戴しましょう。

そして自らの極楽浄土を願い、また先に向かわれたご先祖様を偲び、共々にお念仏をたくさんお称えしながら過ごしてまいりましょう。

 

合掌

祐天寺法務部 廣瀨 晴彦

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