明顕山 祐天寺

「み仏の 本願弘誓を おろがみて 念仏一途に 生きよ諸人」

「選擇集(せんちゃくしゅう)の御詠歌」と名付けられたこの歌は、浄土門主・浄土宗総本山知恩院門跡第八十六世心譽上人中村康隆猊下御作のものです。
『選擇集』、正しくは『選擇本願念仏集』は、前の関白九条兼実公の懇請によって、建久9年(1198年)、法然上人が66歳の時に撰述されました。法然上人畢生の書にして、浄土宗の根本聖典であります。
『選擇集』は、「浄土往生のためには念仏が一番尊い行である」という内容を説かれたものです。お念仏は、だれでもいつでも出来る易しい行であり、また、どの行よりも功徳が勝っており、仏の願いに合致する行です。その上、一声の念仏でも、み仏の無量の功徳が備わっております。どんなに時代が悪くても、善根功徳が積めなくても、お念仏は仏様の我が子を思うような大慈悲心が働いて、必ずお救いいただける行です。尊く強く大いなる仏願力を頼み、念仏すれば、現在より未来世にいたるまで大利益をこうむります。その上、往生の本懐を遂げて、神通自在の徳を備え、清らかな法楽がいただけることが誓約されています。六方の諸仏は、念仏の尊い働きが真実であることを総出で誉め讃えられ、証明され、さらに念仏の行者を護ることを誓っておられます。この仏様が、選りすぐってくださった(選擇)、阿弥陀様の願いとお救いのお誓い(本願)の大功徳の行(念仏)で、仏教の究極が南無阿弥陀仏であることを明らかにされました。

合掌

祐天寺法務部 竹村 崇邦

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