明顕山 祐天寺

「無常念々にいたり、老少きわめて不定なり。病いきたらんことかねてしらず、生死の近づくこと誰か覚えん。もっとも急ぐべし、はげむべし」

念仏往生義

 

人のいのちははかないものであり死が刻々と迫り、それは年寄りであれ子供であれ、定まってはいません。いつ病気にかかるかもわからず、いつ死がやってくるのかも誰も知ることは出来ません。だからこそ急いで念仏の行にはげまなければなりません。

仏教を開かれましたお釈迦様は、この世は無常であるとお伝え下さいました。この世で同じ状態であり続けるものはない、常に移り変わっていくものだと。例えば見た目にも美味しそうな果物をいただいて大切に食べようととっておいたのはいいが、数日後にはその果物は黒ずんでいて美しさも味も悪くなってしまっている。常に上から下に流れている川の水が一定の場所で留まり続けることのないように、私達の命というのも生まれたと同事に、いずれこの世を去っていくものであり、無常であります。

私達は、さまざまなご縁で法然上人のお念仏の教えに出会うことができました。もしかしたら明日にも亡くなる命かもしれない。しかし心の中では、まさか自分の命が今日、明日終わるのだとは思えないものであります。そんな私達だからこそ、一日一日に感謝をし、無常である世を意識し、いつでも阿弥陀様が見守って下さっていることを忘れてはいけません。この世での勤めを終えた時に西方極楽浄土の阿弥陀様にお迎えいただけるように、日々のお念仏を大切にしてゆきましょう。これからも共々にお念仏を相続してまいりましょう。

合掌

祐天寺法務部 廣瀨晴彦

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