明顕山 祐天寺


公開日:2025年12月1日  

「昨日といひ 今日と暮らして あすか川 流れてはやき 月日なりけり」      古今和歌集 341より

早いもので2025年も最後の月になりました。もう数週間後には年の暮れであり、一か月も経たないうちに新年を迎えます。

年齢を重ねるごとに月日が経つことが早く感じますが、このことを19世紀のフランスの哲学者であるポール・ジャネ氏は「記憶される年月の長さは、生活年齢に反比例して、年少者にはより長く、年長者では短く感じる」と提唱されており、このことを「ジャネーの法則(またはジャネの法則)」とも呼ばれております。分かりやすく言えば、若ければ若いほど時間の経過は遅く感じ、年を取れば取るほど時間の経過が早いということです。日常的な感覚では、秒針が刻む1秒の長さは世界中どこでも同じでありますが、特に年の瀬は年内に済まさなければならない仕事であったり、大掃除やお正月の準備であったり、毎年のことながらバタバタしてしまい、あっという間に過ぎ去る感じがあるのは私だけではないでしょう。時間があっという間に過ぎることに一種の儚さを感じますが、仏教ではこのようなことを「無常迅速」という言葉で表します。

これは「世の中は常住不変でなく、常に変化し、きわめて早く流れている」という意味です。人の命もまた同様であり、時間や人生の儚さを自覚することは、人として生きる上で重要な事柄です。私たちが人として生きられる時間は限られた時間しかありません。法然上人がお示し下った浄土宗の教えを信仰するものは、この世が無常であるからこそ、日々のお念仏を継続していくことこそが何よりも大切なことではないでしょうか。

どうぞこれからもお念仏をお称えしてまいりましょう。

合掌

法務部 脇川公暢


«   
TOP