明顕山 祐天寺


公開日:2025年6月2日  

『人と比較するところから 不幸は始まるのよ』 サザエさん

法務部 竹内 正俊

以前、テレビでサザエさんがタラちゃんに言っていたセリフです。サザエさんのタラちゃんに伸び伸びと成長して欲しいという思いが伝わってきます。

「隣の芝生は青い」といいますが、これは「自分よりも他人がよく見える心理」を指すそうです。他人が持っているものが、自分の持っているものより良く思えてしまう反面、自分の持っているものの良さには気が付かず、悪い面ばかりが気になるという心理です。外国のことわざにも同様の表現があるそうで、人をうらやむということは世界共通なのかもしれません。

隣の芝生が青く見える原因は、人と自分を比較してしまうことにあります。しかし、人と比較して現状がよくなることはありません。他人と比べずに「自分は自分」と割り切る気持ちが必要です。

しかし、私も他人と比べてしまう時があります。先日、保育園と小学校の懇談会があり、保護者や先生とお話をする機会がありました。それぞれが子育てで悩んでいることや、気になっていることを話しました。他のお宅では、子供が早く寝るので助かる、ご飯は何でも食べるからありがたいなどと聞きました。私は娘の寝る時間が遅いことや、息子の好き嫌いが多く、なかなかご飯を食べないことを悩んでいたので、その方がうらやましく思ってしまいました。人と比べても子供は変わらないのに、そのように感じてしまったのです。ある子育ての本には、比べるなら以前の子供と比べましょうと書いてありました。前よりもできることが増えているならば、そこに注目しましょうということです。

詩人の金子みすゞさんの有名な詩に、このようなものがあります。

「鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい。」

「みんなちがって、みんないい」はよく知られたフレーズですが、その一行前には「鈴と、小鳥と、それから私」と書かれています。「私」を最後に持ってきています。「あなたがいて私がいる。あなたと私、どちらも大切」と考えた時にはじめて、「みんなちがって、みんないい」という言葉が生まれてくるのです。みすゞさんにとっては小鳥も鈴も自分そのものであり、優劣をつけるという考え方はありません。

人と比べることなく、それぞれの個性を大切にしていきたいものです。


«   
TOP