「君たちはどう生きるか」法務部:脇川公暢
去る2023年の夏、スタジオジブリ制作の「君たちはどう生きるか」という映画が公開されました。
この作品の監督は「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」その他多くの日本を代表するアニメーション作品を手掛けた宮﨑駿氏です。
私が幼少のころから日本テレビの金曜ロードショーという番組では、スタジオジブリ作品が定期的に放映されておりました。その日は子ども心に楽しみにしていた記憶があります。
「君たちはどう生きるか」という作品は、宮﨑駿氏の10年降りの作品でもあったため、私がよく立ち寄る本屋さんでは特集コーナーが設けられておりました。そこには映画と同名の小説「君たちはどう生きるか」という本が陳列されておりました。それは1937年に山本有三編「日本少国民文庫」の第5巻に刊行された、吉野源三郎氏が書かれた児童向け長編小説でした。
この小説のあらすじは、お父さんを亡くした中学二年生の「コペル君」こと本田潤一が、叔父さんとの交換ノートによる対話を通じて、社会や生きることの意味について考え、人間的に成長していく物語です。この小説が書かれてから80年以上近く経った現代であっても、人として成長するうえで大事なことに気付かせてもらえる内容であり、特に中学生、高校生年代に一読いただきたい一冊です。小説の最後は「コペル君は、こういう考えで生きてゆくようになりました。そして長い長いお話も、ひとまずこれで終わりです。そこで、最後に、みなさんにおたずねしたいと思います。君たちは、どう生きるか。」という文章で締めくくられております。
私たちは「どう生きるか」という問いに対し、一人一人考えていかなければならない大事な事柄でありますが、多様な文化や価値観があるため答えが違うかもしれません。しかし、浄土宗の教えを信仰する者にとっての「どう生きるか」については、法然上人がお示しくださった「お念仏と共に生きる」ことが答えではないでしょうか。
南無阿弥陀仏とお念仏をお称えすることによって、人としての命終わるときに、阿弥陀仏が建立された迷い苦しみの無い清らかな世界である極楽浄土に往き生まれることができる。これがお念仏の教えです。お念仏の実践こそ、私たちが「どう生きるか」の意義を明確にすることができる唯一の行いと思い、これからもお念仏を継続してまいりましょう。
合掌