明顕山 祐天寺


公開日:2024年9月3日  

「備えは 今から」 浄土宗月訓カレンダーより

9月に入りました。台風も多く発生し、日本にも直撃の心配が増える時期です。先日も、巨大な台風10号が日本を直撃すると早くから報道され、全国で食料品や雨対策の品が品薄になったりして、台風被害に備えた方も多くいるのではないでしょうか。

私たちは生きていく上で、様々な「備え」をして暮らしています。健康診断や歯科定期健診など、体の備え。老後生活の備えとして財産運用。災害が起こった際の備えで避難訓練など。これらの「備え」をする、または繰り返すことで安心して暮らしていくことができます。

では、誰にでもいつか訪れる死ということについて、いわば「命の備え」はできるのでしょうか。命あるものはいつか必ず終える日が来る、ということは誰にも止めることができません。すると、その時はいつ来るのだろうか、死後はどうなってしまうのだろうか、と不安に思われる方も多くいらっしゃると思います。

この不安を払拭する「命の備え」とは、私は浄土宗の宗祖法然上人が教え広めて下さったお念仏のみ教えにあたると思います。

法然上人は、私たちが常日頃から「南無阿弥陀仏」とお念仏を称えることで、命を終えた際には阿弥陀様という仏様が、清らかな極楽浄土という仏の国へ迎え入れて下さる、というみ教えを、生涯をかけて教え広めて下さりました。

このお念仏は、阿弥陀様が、救いを求める者を誰一人として漏らすことなく救えるよう、誰でも行える修行として確立してくださいました。そして、救われたいと願って南無阿弥陀仏と称えた者は必ず極楽浄土へ迎え入れると約束してくださいました。

ですから、お念仏をお称えすることは、この先には極楽浄土へ往くことができるという「命の備え」となるのです。

ではこのお念仏はいつから称えれば良いのでしょうか。

「極楽へ つとめて早く 出で立たば 身の終わりには 参りつきなん」

これは法然上人のお詩です。

「旅に出る時は早くから準備を整え、当日も朝早くから出発するのと同じように、極楽浄土へ向かうことを決めたのであれば、早くからお念仏に励むのです。そうすれば命を終える時には阿弥陀様の迎えを受けて必ず極楽浄土へ往くことができます。どうぞ今から直ちにお念仏に励みましょう。」とお勧めしてくださっています。

今からお念仏に励んでいれば、いつ命を終えることになったとしても、安心して極楽浄土へ往くことができます。

ぜひ命の備えも今から、共に行ってまいりましょう。

合掌

法務部 佐藤隆常


«    »
TOP