明顕山 祐天寺

公開日:2024年5月3日  

「塵を払わん 垢を除かん」

僧侶になるため大学へ通っていたころ、先生から僧侶に大切なことは、一に掃除・二に勤行・三に学問と学びました。学生の頃は、なぜ掃除が一番なのか疑問でした。

お釈迦様のお弟子にチューダパンタカという方がいらっしゃいました。チューダパンタカは、覚えたことをすぐ忘れてしまう方でした。物覚えが悪い自分ではお釈迦様の弟子にふさわしくないと考えるようになり、お釈迦様のもとを離れようとします。それを見つけられたお釈迦様はチューダパンタカを留まらせます。何故出ていこうとするのかと問うと、チューダパンタカは、自分が至らないことを相談しました。するとお釈迦様は、毎日箒をもって掃き掃除をせよと、そして「塵を払わん 垢を除かん」と称えながら掃除をするのだと教えました。それだけ称えるなら私でもできるとチューダパンタカは毎日、「塵を払わん 垢を除かん」と言いながら掃除を行いました。しかし毎日のように掃いてもゴミは一向になくなりませんでした。チューダパンタカは、なぜ一向にゴミが無くならないのか疑問に思うようになり、そこでハッと気づきました。このゴミとは私の尽きることがない悩みや欲望であり、お釈迦様がお教えくださった「塵を払わん 垢を除かん」とは自身に溢れる悩み欲望を除いていくことなのだと気づきました。この気づきによってチューダパンタカは、さとりを開かれたと言われています。チューダパンタカにとっては、掃除がさとりを開くための鍵でしたが、私たちにとってはどうでしょうか。私たちは、生きている限り悩みや欲望は尽きることがありません。お釈迦様は、その人その人に合った教えを説かれました。

浄土宗を開かれた法然上人は、誰もが平等に救われる御教えを探し非常に長い間ご修行をされ、お釈迦様が伝えてくださった多くの御教えの中から、阿弥陀様のお念仏の御教えに出会われました。

本年は、浄土宗が開かれて850年という記念の年です。浄土宗では様々な記念行事を行っております。50年に一度のこの機会に是非、阿弥陀様とのご縁を結んでいただければと思います。

合掌

法務部 吉澤 遵和


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