明顕山 祐天寺

公開日:2023年6月17日  
『善いことばを口に出せ。悪いことばを口に出すな。善いことばを口に出したほうが良い。悪いことばを口に出すと、悩みをもたらす』(ウダーナヴァルガより)
 今回掲示版に掲げさせていただいた言葉は、ウダーナヴァルガと呼ばれる仏陀釈尊の「感興のことば」より引用させていただきました。
辞書で「感興」と調べると、「興味がわくこと。面白みを感じること」とありますが、「感興のことば」とは仏陀釈尊の教えを集めたもので、人間そのものへの深い反省や生活の指針が表されているものであります。
 さて、意図的でないとしても、つい「悪いことば」を口にしてしまうこともあるのが私たち人間ではないでしょうか。
感情が高ぶった際、つい口から出てしまった言葉を後々に振り返ってみると、「あの時あんなこと言わなければよかった」と自責の念に駆られたという経験は、誰もが一度や二度ではないはずです。
 仏教の教えでは様々な戒めごとがありますが、その中で身(しん)【身体】と口(く)【言葉】と意(い)【心】で犯す十悪【十種類の悪業(あくごう)】を慎むべきであると説かれています。悪業とは「苦しみを招く悪い行為」のことであり、その行為は悪道に堕ちる原因となるのです。
 悪業の中でも、特に口【言葉】で犯してしまうものが多いのが特徴です。その中に「悪口」(あっく)というものがあります。意味として「汚く罵って他者を悩ますこと」です。
わかりやすく説明すると「人を悩ます傷つける言葉。思いやりや配慮に欠く言葉」ということです。
自らが発した言葉は、自身の行く末に何らかの形で影響を与え、良い方向にも悪い方向にも導くものです。
「人は生まれによって尊いのでも賤しいのでもない。その人の行為によって、尊くもなれば賤しくもなる。」という仏陀釈尊の言葉があります。
今回掲示した言葉同様、自分の行為には責任を持たなければならないという警句として受止めさせていただきましょう。 合掌

«    »
TOP