明顕山 祐天寺

公開日:2023年1月20日  

 「心得て いながらすべる 雪の道」

法務部:脇川公暢

寒い日が続きますが、令和5年1月20日は二十四節季の上で「大寒」と呼ばれる日にあたります。

 

二十四節季とは、一年を春夏秋冬の四つの季節に分け、さらにそれぞれ六つに分割したものであって、皆様も聞き覚えのある「立春、春分、夏至」なども二十四節季の一つです。

 

二十四節季の中で一番寒さが厳しくなる頃が「大寒」です。今年の冬は例年より冬型の気圧配置の影響もあり、各地で平年を大きく上回る積雪になっているそうです。

 

さて、先日ある本を読んでいたところ「心得て いながらすべる 雪の道」という言葉に目が留まりました。

 

言葉は捉え方によって様々な意味がありますが、私はこの言葉を「よく理解しているから、慣れているからという過信や慢心があると失敗してしまう事がある」と捉えさせていただきました。

 

もうだいぶ前になりますが、東京都心でも大寒の時期に雪が積もる年がありました。ちょうど雪が降り始めた頃、私は外出先から自宅に帰る為に車を運転しておりました。

 

この程度の雪ならば大丈夫だろうと思い、自分の運転技術を過信していた私は、高速道路でスリップしてしまい、あわや大惨事という出来事がありました。

 

普段の生活の中でも、私たちはつい過信や慢心が芽生えてくることがありますが、浄土宗をお開きになった法然上人のお言葉の中に、「念仏者はくれぐれも慢心を慎むべき」と次のように言われております。

 

「まじめにお念仏を行い、いかにもそれらしい念仏者になると、多くの人を見るにつけ、みな自分より劣り、あきれる程ひどいので、自分をよしとする思いにまかせて、『私はなんと立派な念仏者なのだろう、だれよりも上だ』と思うようになる。世間は広く、人も多いので、山の奥、林の中に隠れ住み、人にも知られていない念仏者で貴く素晴らしい方が多くいるのを、自分が聞かず、知らないだけのことなのです。ですから『私ほどの念仏者はまさかあるまい』と思うのは心得違いであり、大変な思い上がりである。この思い上がりの心が起こっただけで、心も行も必ず道を外れ、たちまち阿弥陀様の本願に背くことになり、阿弥陀様も諸仏もお守り下さいません。くれぐれも慎んで思い上がりの心を起こしてはなりません」と言われているのです。

 

つい過信してしまったり、慢心の心を持ってしまう私たちでありますが、お念仏をお称えする心だけは慢心することなく真摯に取り組んでいきたいものです

合掌


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