「ひとりでなんて、生きていけないよ」

                                                         野比のび太

法務部　竹内正俊

「袖振り合うも多生の縁」といいますが、知らない人とたまたま道で袖が触れ合うようなちょっとしたことも、前世からの深い因縁であるそうです。私達の周りにいる人は、何かのご縁によって出会ったのかもしれません。

以前、長男とドラえもんを見ていると、「どくさいスイッチ」という道具がありました。気にいらない人を消してしまうスイッチです。のび太君はジャイアンにいじめられるとジャイアンを消し、嫌なことをされた周りの人を次々に消していきました。そして昼寝中に嫌な夢をみて、思わず「誰もいなくなってしまえ！」と寝ながらボタンを押してしまいました。誰もいなくなった世界で、初めはのびのびしていましたが、停電になり、心細くなったところでポツリと「ひとりでなんて、生きていけないよ」と言ったのです。すると、ドラえもんが現れ、自分が気に入らないからと消していってはダメなんだよと言われ、のび太君は反省しました。

私達は多くの人との関わりの中で生きています。世界の人口は現在、約80億人になるそうです。その中で私達が人生で出会う人はどのくらいでしょうか。おそらく、地球上のほんの一握りの人達でしょう。私達の周りにいる方は、様々な縁があって出会ったのかもしれません。

私は大学生の時に大きなお寺の行事でお手伝いをしていました。子供達を集めてお寺の生活を体験してもらう行事で、大勢の子供達と接しました。最近になって、現在の同僚からその時の集合写真を見せられ、なんと大学生の私と小学生だった同僚が写っていました。本当に驚きました。そして今、一緒の職場にいることがとても不思議な縁だと感じました。

金八先生は「人間っていうのは、 人と人の間で生きているから、【人間】っていうんじゃないかな」と話していました。

「振りむけば　ご恩を受けた　人ばかり」

これまでの、そしてこれからのご縁を大切に生きていきたいものです。

合掌