6月、前橋市(群馬県)大蓮寺の地蔵菩薩像が建立されました。地蔵菩薩の背中に祐天上人名号が彫ってあります。施主は江戸日本橋の相模屋伊助です。大蓮寺は15世深誉幽山が住職の時代でした。
8月、下野国(栃木県)の高田専修寺の本尊である阿弥陀如来像(一光三尊仏)が、浅草(台東区)唯念寺にて開帳されました。
専修寺は、親鸞がこの地に立ち寄った際に、虚空蔵菩薩の化身から夢告を受けて建立した寺院として伝えられ、本尊の如来像は寺院建立時に親鸞が信濃善光寺から感得して安置したと言われています。以来、専修寺には多くの門弟が集まり、専修寺を中心とする真宗高田派という1派を形成していきました。
唯念寺は高田派寺院の中でも、幕府からの通知を本山へ取り次ぐ役目などを担う格式の高い寺院で、浅草称念寺、桜田(港区)澄泉寺と合わせて「江戸三ヶ寺」と呼ばれていました。また、寛政4年(1792)には祐天名号の付いた水難供養塔が建立されています(寛政4年「祐天寺」参照)。
この年の開帳は、詳細についてはわかりませんが、50日間にわたって行われたそうです。