12月19日、田安家の宝蓮院(『徳川幕府家譜』では法蓮院)附きの上臈(奥女中の最高位。相談役)であった佐保山が逝去しました。祐天寺に納められた法号は是心院殿妙雪観空大姉です。
宝暦6年(1756)に亡くなった佐保山の父の法号も祐天寺に納められています。
黄表紙の累物『嗚呼不儘世之助噺』が刊行されました。蓬莱山人亀遊の作です。
貧乏な世之介はきぬ川太夫を請け出したいと望みますが、身請け金がなくてはできない相談です。夢の中で世之介は、下総国はにゅう村の富裕な家の娘、かさねをだまして駆け落ちしようと千両箱を持ち出させます。金を手に入れて用のなくなったかさねを松の木から落としたところ、顔を打って頬が腫れて醜女になり、片目はつぶれ、片足も悪くなりました。恨んで追い掛けてくるかさねの首を切り落とすと、首が鬼の形相になって飛んでくるという夢でした。目が覚めて、持参金付きではあるが夢で見たおたふくそっくりな女房をもらうことになり、世之助は恐ろしく思って仲良く添い遂げたという話です。